森崎日記

読書メーターから来ました

heisoku「ご飯は私を裏切らない」感想

 

一人で独特の言葉をグルグルさせていく感じが気持ち良い。主人公の悩みや上手くいかなさがかなり生々しかったりと、リアリティがあってかなり暗い世界観なんだけど、主人公が終始どこか前向きなのが良い。食事は本当に大事。

 

 

 

第5話 P.51~ カレーと肉じゃがの共通項にいつまでも気づかなくても構わない。いつまでも料理が上手くならなくても困らないし誰に迷惑もかけない。料理が上手であろうと下手であろうと、料理をする事はできる。料理は楽しい。ご飯も料理も私を裏切らない。

 

 

 

描き下ろし部分に滅茶苦茶重要なことが描いてある。高級料理を食べる機会が無くても、美味しいと胸を張れるような料理が作れなくても構わない。自分が作った微妙な料理だったりコンビニで買った安い弁当だとしても、「美味しい」という感覚は変わらない。

 

「幸せ」の感覚にも同じ事が言える。他人と比較したら、どこまでも自分が不幸で惨めで苦しく感じてしまう。だが、外に出て日の光を浴びて軽く運動して近所の中華屋で食事をするだけでも、十分に「幸せ」を感じる事が出来る。

 

「幸せ」は本来、心及び身体感覚の良好な状態を表す言葉で、他人と優を競い合って悦に浸る事ではないはずである。頭で考える(言語や理屈を通して他人と比較し合う)のではなく、自分自身の身体感覚に依拠する事で自分の中の幸福を思い出す事ができる。

 

この本で言うように、「美味しい」と感じる物を食べて「幸せ」を感じて自分を誤魔化して、そのまま寝てそれを繰り返して日々をやり過ごせばいい。疲れたら飯食ってそのまんま寝ちまえばいい底無しのペインと戦うUltra soul