森崎日記

読書メーターから来ました

廣野由美子 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書) 感想及びまとめ

放送大学で文学批評の授業を取ったものの、テキストが難解だったので、もう少し易しい所から始めたいと思ってこの本を読んだ。

 

分析する対象の作品を「フランケンシュタイン」の一つに絞って、「小説技法」と「批評理論」という二つの視点から作品を読解していくという内容の本。

 

この本でも、放送大学のテキストと同じように、文学批評における基本的なトピックが網羅的に触れられているが、新書サイズなので一つ一つのトピックの概要が簡潔にまとめられていることや、分析する作品が一つに絞られているということや、「フランケンシュタイン」という有名な作品を扱っているということ(作品に直接触れた事が無くても、何となくの物語の大枠を知っている。)のおかげで、かなり読み易かった。

 

個人的には、「性格描写」、「間テクスト性フランケンシュタインはどのような作品からの影響を受けているのか)」、「「フランケンシュタイン」のユング的解釈」の辺りの記述が面白かった。

 

一方で、いくらわかりやすく書かれているからといって、しっかりこの本の内容が身に付いているかと言われたら微妙である。やはり、自分で実際に批評を行ったり、自分で物語を考えたりしないと、批評の知識は身に付かないのだなと思った。なので今後何らかの形を通して、この本に書かれている事を血肉に変えていきたい。