森崎日記

読書メーターから来ました

67歳の新人 ハン角斉短編集 (ビッグコミックス) 感想

早くにデビューできたとしても、還暦まで漫画家を続けられる人間はほんの一握りという世界の中で、還暦を超えてからデビューしたというのは異例の快挙だと言っていいと思う。

題材や思考はどれも下品で仕方が無いものばかりだったが、強烈な生命力や個性を感じる内容だった。各話毎で最後にしっかりオチがついているのには巧さを感じた。

狙ってやっているのか本気でやっているのかわからないギャグシーンが滅茶苦茶面白かった。不条理な世界観を示すためのセリフだと思ったら、友達との会話の中でやっぱりおかしいセリフだったと判明した所で、なんだか滅茶苦茶笑ってしまった。

 

『作者・ハン角斉氏より

この度は『六十七歳の新人 ハン角斉短編集』
ご購読ありがとうございます。
この本のタイトルですけど
「北海道の原始林で老いた珍獣発見!」
って感じで迫力があるのですけど、さすがに
恥ずかしいです…

私は北海道で生まれ、今も十勝地方で
生息しています。
漫画家になるのは小一の時からの夢でした。
しかし、画力は伸びずストーリーも全く作れず
高校に入る頃には挫折してしまいました。
夢が破れても生きて行かねばなりません。
柔道整復師の資格を取り整骨院を開業しました。
しかし患者数が全く伸びず、仕事は暇でした。
暇のまま時だけが過ぎて行きました。
暇を持てあましていた私は、四十五歳にして
再び漫画家をめざす事にしました。
しかしコンテストには二十回以上落選を続け、
夢は叶う事なく、五十歳…六十歳と
私は老化して行きました。
でも挫折する事はありませんでした。
なぜなら、私は漫画を描く事が
習慣になってしまっていたからです。

習慣になった私の漫画を、
すこし以上に楽しんで
読んでいただけたら幸いです。

二〇二二年八月十日
ハン角斉』