森崎日記

読書メーターから来ました

(図書館版)ネット検索が怖い: ネット被害に遭わないために (ポプラ選書―未来へのトビラ) 感想

 「忘れられる権利」とはネットから個人の情報を削除させる権利を認める事で、これには個人情報の保護を強化する狙いがある。

 

今までインターネット上で被害を受けた人は対象のサイトへ一つ一つ対応していかなければならなかったが、30万を超えるサイトに自分の写真をコピーされた女性がグーグルを相手に検索結果の削除訴訟を起こして始まった裁判で女性が勝訴したことにより初めて検索サイトに対する削除請求が認められた。

 

この事がきっかけとなりEUが提案した一般データ保護規則案の17条において、「忘れられる権利」という文言が初めて登場した。

 

忘れられる権利の登場は世界中のインターネット上で被害を受けた大勢の人々に希望を与えたが、一方で日本の場合は「当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」にのみ検索結果を削除するという判断を最高裁が示したことにより逮捕報道などの検索結果の削除がネット以外の世界では犯罪歴を含む個人情報は厳重に保護されており警察署や区役所へ出向いたとしても教えてもらうことはできないにも関わらず難しくなってしまったという問題が残っている。

 

インターネットがここまで発達し私達の生活には必要不可欠になった以上、「人の噂も七十五日」ということわざが通用しない世界になった事と私達はインターネット上で被害者にも加害者にもなる可能性が大いにある事を認識した上で、自分の人権が誰かに侵害されていないかそして他人の人権を自分が侵害していないかを常に意識する必要性があるという事を本書を読んでいて実感した。